情報システム論(山陽学園大学)
2001年度から2014年度にかけて山陽学園大学で 担当していた講義「情報システム論」の記録です。
講義のコンセプトと経緯
岡山県立大学に着任して3年目くらいのときに、学科内の某教授から引き継ぎを依頼され、始めることに なった非常勤講師です。
当初から「情報システム論」という講義名は決まっていました。ですが、非常勤先の大学は文系、しかも 女子大(当時)で、講義の対象は、技術的な下地はほとんど期待できない学生さんです。そんなところで 普通に情報システムの話をしても全く響かないことは目に見えていました。
で、現代の情報システムに関連し、彼女らに響くテーマはなんだろう、と考えた末、インターネットやWeb をメイントピックとしました。インターネットやWebは身近なものになっていますが、残念ながら、家電の ように技術を全く知らなくても使えるような状態にはなっていません。IT系の企業に就職するのでなくても、 日常生活を送る上で、最低限の技術的知識は知っていないと使えないし、さらにはIT技術の進歩に伴って 知識を自ら更新していく能力(講義の時には「アンテナを張る」という表現を使っていました)が必要です。 講義を通して、こういう能力をつける必要があるんだな、と気づいてもらえれば、成功かな、と考えたのです。
これだけではまだ抽象的で響きにくいので、もう少し想像しやすい言葉でコンセプトを表現し、1回目の 講義で学生さんに提示することにしていました。それが、自分のおじいちゃんおばあちゃんとか、身の回りに いるITに疎い人に、これはこうなんだよ、それは危ないよ、などと教えられるようになろう、です。 実際にこのレベルに到達した学生さんがどれくらいいるかはわかりませんが、ともあれ、これなら具体的に 自分の姿が想像できて目標を実感してもらいやすいんじゃないか、と考えたのです。
IT技術に疎い学生さんでもなんとなくわかってもらえるよう、たとえ話も多用しました。例えば、TCP/IP 通信を宅急便の宅配に例えるとか。TCPのパケット分割が荷造り、IPのルーティングが道路網を経由した荷物の 配送、と言った感じです。ここで思いついた例えの多くは、今でも、いろんなところで使っています。
結局、14年間という長い期間にわたって担当させていただくことになりました。途中、学科のカリキュラムの 方針変更などもあって内容を一部入れ替えもしましたけど、基本的にはこの方針のままやらせていただけました。
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講義メモ
だいたい講義の進行に沿って並べています。ただし、1つのノートが1回の講義に対応するわけでは ありません。これらのほか、電子商取引やWeb検索の仕組みなどについても講義を行いました。