岡山県立大学情報工学部情報通信工学科で共同で担当している講義「技術英語」の 実施記録です。

講義の概要

技術的な英文を読み解く機会を設け、技術者に必要な基礎的英語力を身につけさせようと いう講義です。大講座単位で小グループを担当します。英文の題材も大講座単位で用意します。 いつから始まったのか記録が手元に残っていないのですが、少なくとも2004年度には実施した という記録がありました。

コンセプトと経緯

他の大講座は大抵、英文の専門書を日本語訳しながら輪講する、というスタイルを取っています。 ですが、私が所属していた大講座では、このスタイルに適した洋書というのがあまりありませんでした (探していなかった、使っていなかった、というのが正確だとは思いますが)。また、当時の教授と 私の共通認識として、専門書の輪講はつまんないよね、と思っていました。

それで、ACM International Collegiate Programming Contest (ACM-ICPC) の過去問を読み、解き方を考え、できればプログラムを作る、という課題設定をしました。 解き方も考えるというのがミソで、そのためにはある程度精密に英文を読まなければなりません。 境界条件なんかがさりげなく英文に書いてあったりするので。逐一英文を訳していく必要はないけれど、 読むべきところは精密に読む、という、論文や技術英文の読み方に合致する、と考えたのです。

全般的には面白い演習になったと思いますが、ACM-ICPCの問題文の英語が想定より易しめだったというのが やや誤算で、講義の趣旨からすると英語の読解が軽めになってるなあ、という反省は常にありました。

で、私が主に担当した最後である2013年度では、Roy Fieldingの有名な博士論文である Architectural Styles and the Design of Network-based Software Architecturesを 日本語訳しながら輪講するという内容に変えました。Webやネットワークのソフトウェア設計に関して、 まず読んでもらいたい英文専門書といえば、まずこれだよね、ということで選びました。 まあ、ちょっと3年生には難しかったかなと思います。そもそも、アーキテクチャというものをほとんど学んだ ことがない状態ですので、用語とかを理解するのがまず一苦労だった印象です。

それで、2014年度以降では、自分の担当講義「Webアプリケーション」でアーキテクチャやアーキテクチャ スタイルについて割としっかり講述するよう心がけています。