岡山県立大学情報工学部情報通信工学科1年次生を対象に行っている講義「フレッシュマンセミナー」の 実施記録です。

コンセプトと経緯

大学生として今後身につけておいて欲しいスキルを初めて学ばせたり、今後の大学生活に繋がる話を したりするというコンセプトで、2004年度から始まった講義です。学科の教員全員で分担するという ことになっており、2014年度までは主に以下の2つの内容から構成されていました。 (2015年度以降、やや構成が変更されています)

  1. 小グループ(7〜8人)ごとに、何か課題を与えてグループで議論・発表を行わせる
  2. 今後の大学生活に繋がる講義を行う

私の場合は、前者を2004・2007・2010・2013年度に担当し、同時に後者を2004年度から2010 年度まで担当しました。

前者の課題は後述しますが、最初から、以下の2つを念頭に置いた課題設定を行いました。

  • サービスデザインを行う。特に自分が興味を持っているWeb業界では、技術者であってもサービス デザインと無縁ではなく、サービスをデザインできる能力が多少なりとも必要であるとの考えからです。 しかし、こういう考え方に立つ教員は学科内にいなかったようで、他の教員からの課題が論理的課題解決 を志向したものである中、毎回かなり異色の課題設定になっていました。
  • 学生の身近な題材にすること。いくらサービスデザインが大事だとはいえ、高校まで理数系科目を 中心に勉強してきた学生に、いきなり社会的な課題を与えても簡単には進まないだろうと考え、身近で 自分ごととして考えやすい題材にすることを心がけました。

後者で立てたコンセプトは「高校の学習内容から情報工学への橋渡し」でした。自分自身、高校まで数学が 好きで、それを活かせる学科として情報工学科を選んだはずなのに、数学はあまり出てこず、電気実験など 物理の話が結構出てきてかなり戸惑った記憶があるので、経験を積んできた今の自分の視点から、新入生たちに 橋渡しをしてあげたい、という気持ちから講義内容を決めました。

グループ課題

2004年度

総社市内に新たにコンビニエンスストアを開業したい。皆さんにはその経営スタッフになったつもりで、以下の課題両方について班内で調査・検討を行い、結果をまとめてもらいたい。

  • 新たに開業するコンビニエンスストアの場所: 総社市内でふさわしいと考える場所を複数(2〜3カ所)選び、ふさわしいと考えた理由、長所・短所などについて比較を行い、最終的に1カ所を選ぶ。ただし、大学付近は市街化調整地域で開店が不可能であるため、避けること。
  • 新たなサービスの考案: コンビニエンスストアでは、宅配便、チケット販売、銀行ATMなど、さまざまなサービスが行われるようになってきている。そこで、経営スタッフの皆さんにも新たなサービスを考案してもらう。複数(2〜3)のサービスを考え、コンビニエンスストアで行うとよいと考えた理由、長所・短所の比較などを行い、最終的に1つを選ぶ。

2007年度

課題名:コンビニで○○(総社市限定)始めます!

コンビニエンスストアで総社市限定の新サービスを立ち上げたい。皆さんには、スタッフになったつもりで、具体的かつ魅力のある企画案を作ってもらいたい。

2010年度

課題名: iPhoneの新しい活用方法を考える

iPhoneは、従来の携帯電話ではできなかった多くの機能を備えており、娯楽だけではなく、教育やビジネスの場でも活用され始めています。皆さんの独創性をフルに働かせて、これまでになかった(けれども便利な、楽しい、etc.)iPhoneの活用方法を提案してください。

2013年度

題目:学生生活を楽しくするモバイル端末の新しい使い方、大募集

概要:皆さんの大半は携帯電話やスマートフォンなどのモバイル端末を、友達とのコミュニケーションなど、日々さまざまに活用していることと思います。そんな皆さんならではの自由な発想で、これからの学生生活を楽しくするようなモバイル端末の新しい使い方を提案してください。何を、どのように、楽しくするかは自由に設定してもらって構いませんが、これまで誰も思い付いていない、けれども実現可能である、いわば「コロンブスの卵」的な提案を期待します。

講義スライド