岡山県立大学情報工学部情報通信工学科で1998年度から2006年度まで実施していた 情報通信工学演習(PC組み立て)に関する記録です。

コンセプトと経緯

岡山県立大学に着任後、まず担当することになった演習でした。前年度まではSunの ワークステーションにSolarisを一からインストールしてなんかやる、というような 内容だったと伺ったような記憶がかすかにあります。

OSを最初からインストールするというのは良いと思ったと同時に、当時はPCの自作と いうのが割とよく行われていたこと、当時の学科ではコンピュータのハードウェアに関する 実験がなかったこと、などから、プラットフォームをPCに切り替え、PCをパーツから 組み上げてUnixをインストールしてなんかする、という、実験のコンセプトが固まりました。

思い起こしてみると、自分が学生だった時は半田ごてでボードに結線して簡単なコンピュータを 作る、というのを学生実験でやった覚えがあります。だから、コンピュータを作るのは学生 実験でやらせてみたい、けれども1999年にもなって情報技術者が半田ごてを触れる必要はないん じゃないの、ということで、パーツからの組み上げくらいが適当かな、と思ったわけです。

と言っても、当時の自分は、PCの自作に関してはほとんど素人でしたので、割とこういうことに 明るい助手さんにお手伝いいただきました。

実施学年も1年前期から2年前期までいろいろと変遷しましたし、OSも、最初の1,2年はSolarisの x86版、その次はFreeBSD、最後の何年かはVine Linuxといろいろ変えました。組み上がった あとやらせることも、基本的なUnix操作演習だったり、Apacheのセットアップだったり、いろいろ やりましたが、最初のコンセプトはずっと維持できました。

この実験、学生にも割と好評でして、2007年度以降は別の先生に担当を変わっていただきましたが 実験自体は継続されました。カリキュラムの都合で2017年度から廃止される予定ですが、20年弱 同じコンセプトで継続できたことになります。なかなかすごいことだと思ってます。

演習テキスト

一部はある程度まとまった形で残っていましたので、GitHubで公開しています。